一般社団法人の機関
一般社団法人を設立するためには、社員総会(すべての社員で構成)と理事(1名以上)を必ず置かなければいけません。
それ以外の機関(理事会・監事・会計監査人)は必要に応じて定款で定めることによって設置していくこととなります。
なお、理事会または会計監査人を置く場合には、必ず監事を選任する必要があり、大規模一般社団法人の場合は、会計監査人を必ず置く必要がありますので注意が必要です。
大規模一般社団法人とは貸借対照表の負債の合計額が200億円以上の一般社団法人をいいます。
一般社団法人の機関設計5つのパターン
以上のことから、一般社団法人の機関設計は以下のいずれかを選択する必要があります。
①社員総会+理事
社員と理事のみの一番シンプルなスタイルです。最低設立社員2人、理事が1人以上であれば一般社団法人が設立できます。
②社員総会+理事+監事
上記①の機関に監事がプラスされた機関設計です。監事は通常置かなくてもかまいません。
③社員総会+理事+監事+会計監査人
会計監査人がプラスされた機関設計です。会計監査人は大規模一般社団法人の場合は必置となります。
④社員総会+理事+理事会+監事
理事会を設置した場合、それを監視するために監事は必置となります。
⑤社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人
大規模一般社団法人の機関設計です。
各機関の解説
社員
社員とは、会社の従業員という意味ではなく、社員総会で議決権を行使することができる者のことをいい、会社でいうところの株主に該当します。
一般社団法人の設立に当たっては、2人以上の社員が必要で、社員には法人もなることができます。
また、設立後に社員が1人だけになっても,その一般社団法人は解散しませんが、社員が0人となった場合には、解散することになります。
社員総会
社員総会とは、一般社団法人の組織、運営、管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議することのできる機関をいい、一般社団法人の最高意思決定機関になります。
ただし、理事会を設置した一般社団法人の社員総会は、法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議することができます。
社員の議決権は1人1票ですが、定款に定めることによって差を設けることもできます。
理事
一般社団法人の業務を執行する理事は、社員総会で選任します。
一般社団法人には、1人以上の理事をおかなければなりません。なお、理事会を設置する一般社団法人の場合は、必ず理事は3人以上置かなければなりません。
理事は、原則代表権を持ちますが、代表理事を定めた場合は、代表理事が代表権を持つことになります。
また、理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結のときまでです。この期間の短縮はできますが、伸長はできません。
理事会
一般社団法人は、理事3名以上により理事会を設置することができます。理事会を設置すると、一般社団法人の運営に関する決議のほとんどは、基本的に社員総会から理事会へ権限が移ります。
しかし、理事会を設置するためには最低1名の監事を設置する必要が生じますので、比較的規模の小さな一般社団法人では機関構成が大がかりになりすぎてしまう可能性もあります。
理事会は、原則3ヶ月に1回の頻度で開催することになっています。定款にて毎事業年度最低2回に減らすことも可能ですが、年1回の理事会開催では法律違反となりますので注意が必要です。
監事
一般社団法人の監事は、業務の監査と会計の監査を行なう機関です。理事の業務執行などを監査する役割から、理事との兼任はできません。
監事の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までです。この監事の任期は、定款で定めることにより、4年の部分を2年まで短縮することができます。